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東京地方裁判所 平成7年(ワ)25455号・平6年(ワ)22275号 判決

原告 株式会社河内屋

右代表者代表取締役 樋口行雄

右訴訟代理人弁護士 鈴木俊光

同右 椎名啓一

同右 庭山正一郎

同右 山田伸男

同右 浅岡輝彦

同右 山田善一

同右 須藤修

同右 毛受久

同右 田村恵子

同右 三森仁

同右 遠山康

同右 上床竜司

被告 資生堂販売株式会杜

右代表者代表取締役 細川治

右訴訟代理人弁護士 石井成一

同右 桜井修平

同右 佐藤りえ子

同右 谷垣岳人

同右 米津稜威雄

同右 長嶋憲一

同右 佐貫葉子

同右 麦田浩一郎

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求める裁判

一  請求の趣旨

1(一)  原告が、被告との間で締結した別紙契約目録(一)記載の資生堂化粧品・食品販売特約店契約に基づき、原告のメイク葛西店、メイク西葛西店、ウィンク葛西店及び河内屋船堀店につき原告が注文した資生堂化粧品・食品の供給を被告から継続的に受けるべき契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

(二)  被告は、原告に対し、別紙注文一覧表(一)記載の資生堂化粧品・食品の引渡しをせよ。

(三)  被告は、原告に対し、金八五〇万六六二三円の支払をせょ。

2(一)  原告が、被告との間で締結した別紙契約目録(二)記載の資生堂化粧品・食品販売特約店契約に基づき、原告のメイク浦安店、メイク行徳店、メイク南行徳店及びメイク原木中山店につき原告が注文した資生堂化粧品・食品の供給を被告から継続的に受けるべき契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

(二)  被告は、原告に対し、別紙注文一覧表(二)記載の資生堂化粧品・食品の引渡しをせよ。

(三)  被告は、原告に対し、金四五五万四六三九円の支払をせよ。

3  訴訟費用は、被告の負担とする。

4  第1項(二)及び(三)、第2項(二)及び(三)並びに第3項につき仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  本案前の答弁

本件訴えのうち請求の趣旨第1項(一)及び第2項(一)に係る部分を却下する。

2  本案の答弁

主文同旨

第二当事者の主張

一  当事者間に争いのない事実及び証拠(括弧内に摘示)により容易に認められる事実(以下「争いのない事実等」という。)

1(一)  原告は、化粧品の販売等を目的とする株式会社であり、東京都内においてメイク葛西店(以下「葛西店」という。)、メイク西葛西店(以下「西葛西店」という。)、ウィンク葛西店及び河内屋船堀店(以下「船堀店」という。)を、千葉県内においてメイク浦安店(以下「浦安店」という。)、メイク行徳店(以下「行徳店」という。)、メイク南行徳店(以下「南行徳店」という。)及びメイク原木中山店(以下「原木中山店」という。)を経営している。

河内屋酒販株式会社(以下「河内屋酒販」という。)は、酒類の販売等を目的とする株式会社であり、原告の関連会社である。

(二)  被告(平成七年四月一日付けで「資生堂東京販売株式会社」から「資生堂化粧品販売株式会社」に、平成一一年六月一日付けで「資生堂販売株式会社」に商号を変更した。以下、商号変更前の被告を「東京販社」という。)は、株式会社資生堂(以下「資生堂」という。)の製造する化粧品・食品の卸売販売等を目的とする株式会社であり、平成七年四月一日、資生堂東関東販売株式会社(以下「東関東販社」といい、東京販社と東関東販社とを併せて「両販社」という。)外一三の資生堂の販売会社を吸収合併した。

東京販社は、城東支店を通じて原告の東京都内の各店舗と取引をし、東関東販社は、船橋支店を通じて原告の千葉県内の各店舗と取引をしていた。

2(一)  現在、原告の代表取締役会長となっている樋口行雄(以下「樋口」という。)は、昭和三八年ころに東京販社との間で、昭和四七年ころに東関東販社との間で、それぞれ資生堂チェインストア契約と称する資生堂化粧品販売特約店契約(以下「本件各チェインストア契約」という。)を締結した。原告は、昭和四八年七月二日に設立された株式会社であり、設立後、右各チェインストア契約における樋口の地位を承継し、両販社との取引を継続してきた(契約書は、原告の店舗ごとに作成された。)。

(二)  原告は、昭和五六年ころ、両販社との間で、資生堂食品取引契約と称する資生堂食品販売特約店契約(以下「本件各食品取引契約」という。)をそれぞれ締結し、両販社との取引を継続してきた。

(三)  原告は、平成四年一月に東京販社との間で、同年二月に東関東販社との間で、比較的低価格で対象年齢層を問わず使用機会に汎用性があり、その機能や組合せが比較的単純な資生堂化粧品(コスメニティー化粧品)について、資生堂コスメニティー契約と称する資生堂化粧品販売特約店契約(以下「本件各コスメニティー契約」という。)をそれぞれ締結し、両販社との取引を継続してきた(契約書は、原告の店舗ごとに作成された。)。

なお、コスメニティー契約は、チェインストア以外の小売店との間でも締結されるものである。

(四)  本件各チェインストア契約、本件各食品取引契約及び本件各コスメニティー契約(以下、これらの契約を一括して「本件各特約店契約」という。)には、次のとおり定められている(甲四、五の1ないし4、六、七の1ないし4、八、一七の1ないし4、一八の1ないし4)。

(1)  両販社は、原告に対し、原告の注文に係る資生堂化粧品・食品を継続して供給する。

(2)  原告は、両販社に対し、引渡しを受けた資生堂化粧品・食品の代金を毎月二〇日締切りで、翌月五日限り(本件各食品取引契約においては当月末日限り)支払う。

(3)  契約の有効期間は締結日から一年間とし、当事者双方に異議のない場合には更に一年間自動的に更新され、以後も同様とする。

(4)  当事者双方は、右期間中でも、文書による三〇日前の予告をもって契約を中途解約することができる。

3  原告は、平成五年六月九日以降、各店舗において、資生堂を含む各化粧品メーカーの化粧品(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)二四条の二第一項に基づいて公正取引委員会及び両販社の指定する商品(再販商品)以外の商品(非再販商品))を、メーカー希望小売価格の二五ないし三〇パーセント引きで販売した(以下、この割引販売を「本件割引販売」という。)。

4  東京販社は、平成五年七月二〇日に原告の各取引店舗に到達した書面により、東関東販社は、同月二〇日に原木中山店に、同月二一日にその他の各取引店舗に到達した書面により、それぞれ、原告に対し、契約を締結している全店舗について本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約を解約する旨の意思表示(以下「本件各解約の意思表示」という。)をし、両販社は、同月二八日に原告の各取引店舗に到達した書面により、本件各食品取引契約についても本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約と同時に解約したものと理解している旨の通知をした(以上の各解約を「本件各解約」という。)。

5  原告は、平成五年七月二〇日から同年八月五日までの間に、東京販社に対して別紙注文一覧表(一)記載の資生堂化粧品・食品を、東関東販社に対して同一覧表(二)記載の資生堂化粧品・食品をそれぞれ注文したが、被告は、その引渡しをしない。

二  本案前の主張

(被告の主張)

請求の趣旨第1項(一)及び第2項(一)の各請求(以下「本件確認請求」という。)は、被告が原告の注文する商品を常に供給することを前提とするのであれば、申込みと承諾により成立するという売買契約の本質に反する不合理なものであるし、被告が特段の事情がある場合には原告の注文を拒絶できることを前提とするのであれば、確認をしても、右特段の事情の存否をめぐってその後も紛争が継続する。

したがって、本件訴えのうち本件確認請求に係る部分は、確認の利益がなく、不適法である。

(原告の主張)

本件確認請求が認容された場合には、既判力によって原告の契約上の地位が確定され、それによって紛争の重要な部分が解決されるから、後に右特段の事情の存否をめぐって紛争が生じる可能性があるとしても、確認の利益がないとはいえない。

三  本案の主張

(原告の主張)

1 被告は、本件各特約店契約は本件各解約により終了したと主張し、原告の契約上の地位を争っている。

2 本件各特約店契約においては、両販社は、原告に対し、原告が注文した資生堂化粧品・食品を注文後二日以内に引き渡すこととされている。

3 本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約においては、両販社は、原告に対し、店舗ごとの二か月間の仕入高に応じ、仕入高が五〇〇万円以上の場合にはその一五パーセントの、仕入高が二四〇万円以上五〇〇万円未満の場合にはその一四パーセントのリベートを、当該期間の終了月の翌々月末日までに支払うこととされている。

原告は、平成五年五月二一日から同年七月二〇日までの間に、次のとおり資生堂化粧品を仕入れたが、被告は、それに応じたリベート合計一三〇六万一二六二円の支払をしない。

(一) 東京販社(リベート額・八五〇万六六二三円)

(1)  葛西店  一六七八万五五九九円

(2)  西葛西店 一四六一万四六二七円

(3)  船堀店  二五三一万〇五九九円

(二) 東関東販社(リベート額・四五五万四六三九円)

(1)  浦安店  一一〇一万〇九四四円

(2)  行徳店  一二〇〇万〇五二二円

(3)  南行徳店  四〇三万八一四二円

(4)  原木中山店 三八三万九八六一円

4 よって、原告は、本件各特約店契約に基づき、原告の注文した資生堂化粧品・食品を被告から継続的に供給を受けるべき契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め、被告に対し、別紙注文一覧表(一)(二)記載の資生堂化粧品・食品の引渡し及びリベート合計一三〇六万一二六二円の支払をすることを求める。

(被告の主張)

1 本件各特約店契約の終了について

(一) 解約

(1)  両販社は、原告に対し、平成五年七月二〇日、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約の中途解約条項に基づいて本件各解約をし、同年八月五日、右条項に定められた文書による三〇日前の予告に代えて東京都内の各店舗について五四〇万円、千葉県内の各店舗について四一〇万円の補償金を支払った。

(2)  右中途解約条項は解約するについて何らの理由も要求していないが、仮に、解約するについてやむを得ない事由が必要であるとしても、本件各解約には次のとおりやむを得ない事由があった。

ア 重大な契約違反

資生堂は、化粧品という「もの」に加えて「化粧という人間文化」「化粧品を使用して美しくなる機能」を提供することを重要な販売理念とし、資生堂化粧品に対する顧客の信頼(いわゆるブランドイメージ)を維持・高揚しようと努めている。そして、このような販売理念を具体化するため、資生堂チェインストア契約には、卸売販売の禁止を定める条項及び専用コーナーにおける推奨販売、対面説明販売、顧客カードの作成・管理、美容講座・セミナーへの参加等を特約店に義務付ける条項が、資生堂コスメニティー契約には、卸売販売の禁止を定める条項及び最適スペースにおける陳列販売等を特約店に義務付ける条項がそれぞれ設けられており、中でも、卸売販売の禁止(化粧品を使用する消費者に直接小売販売すべきこと)及び対面説明販売(顧客の年齢・職業・顔立ち等はもとより、その肌質・肌の悩み・肌トラブルの有無、色合い・使用感の好み、普段使っている化粧品、生活習慣・生活環境について適切なカウンセリングを行い、このカウンセリングを踏まえて顧客に最も適した商品を選択し、その商品を選択した理由や当該商品の特徴・最も効果的な使い方・美容テクニックをサンプルの試用等により説明・指導すること)は、資生堂の販売理念・販売政策の前提かつ中核となる重要な義務である。

ところが、原告は、その赤字経営を一気に解消することを目的として、平成五年六月以降、割引販売に名を借りて大量の資生堂化粧品を卸売販売し、その卸売販売に際してはもとより小売販売に際しても資生堂化粧品の対面説明販売をしなかった。そのことは、同年四月ころから、樋口会長が化粧品の卸売販売を示唆する内容の発言を繰り返していたこと、同年六月以降、浦安店、西葛西店、葛西店及び船堀店において大量の資生堂化粧品が業者等に販売されていたこと、各店舗において資生堂化粧品の仕入高が急増し、特に、船堀店については同年六月度(各月度は、前月二一日から当月二〇日まで)の仕入高が前年同月度の一七・五六倍に、同年七月度の仕入高が前年同月度の二〇・五六倍に、行徳店については同年六月度の仕入高が前年同月度の一・三二倍に、同年七月度の仕入高が前年同月度の七・四三倍にそれぞれ増加したこと、船堀店において卸売販売を隠ぺいするために同年六月一〇日分の売上高が一桁少ない数字に改ざんされていたこと、同年七月ころから、船堀店において「お急ぎの方は用紙に商品名を記入して提出して下さい。お待たせすることがなくなります。」「当店では値引きがサービスの一環となっております。技術面でのサービスは一切行っておりませんのでご了承下さい。」と掲示されていたこと、行徳店において「丁寧な接客はしないように。」「台帳の記入ができないから新会員は獲得しないように。」「夕方の客には(混雑するので)カウンセリングは必要ない。」と指示されていたことなどからも明らかである。

イ 信頼関係の破壊

原告は、平成五年三月三一日、全国六〇〇店のフランチャイジーに資生堂化粧品を卸売販売する旨宣言し、同年五月二五日には、いったん両販社の説得に応じて小売販売に専念する旨表明したにもかかわらず、その後も対面説明販売をせず、また、これを一切しない旨店舗内に掲示し、秘密裏に卸売販売をするなどして両販社を欺いた。

したがって、原告と両販社間の信頼関係は、本件各解約時までには完全に破壊されていた。

ウ 信用不安

原告は、平成三年ころから資金繰りに窮するようになり、平成四年度には粉飾決算をして見せかけの利益を計上していたものの赤字に転落し、そのような状況の下、平成五年六月九日、本件割引販売を開始した。しかし、商品をメーカー希望小売価格の三〇パーセント引きで販売しながら従前の利益を維持するためには、従前の四倍以上の売上げが必要となるため、両販社は、原告に対する売掛金の回収に強い不安を抱かざるを得なかった。

エ 独占禁止法違反の不存在

本件各解約は、右アないしウを理由とするものであり、割引販売を理由とするものではない。また、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約に定められた卸売販売の禁止は、販売会社が垂直的関係にある小売店に対して商品の販売方法を制限するものであり、資生堂の販売理念を実践して他のメーカーとの差別化を図るという合理的な理由を有するものである。

したがって、本件各解約は、独占禁止法に違反せず、そのことは、公正取引委員会が、約二年間にわたり本件各解約が独占禁止法に違反するかどうかについて調査した結果、違反を認定する証拠はなかったと判断していること、資生堂の販売会社が、資生堂化粧品の割引販売をしている他の特約店に対し、何らの措置をとっていないことからも明らかである。

オ その他の事情

本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約に自動更新条項が定められたのは昭和五七年以降であり、それまでは、一年ごとに契約を更新していた。

原告は、現在、被告以外から資生堂化粧品を仕入れ、資生堂化粧品の販売を継続している。

(3)  したがって、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約は、平成五年七月二〇日の本件各解約又はその後三〇日の経過により終了した。

(二) 解除

本件各解約には、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約の解除条項に基づく解除の意思表示も含まれているところ、原告には右(一)(2) アのとおり重大な契約違反があり、それは、催告をしても無意味な程度及び態様であった上、催告をすれば卸売販売が一層秘密裏に、かつ巧妙に行われることが明らかであった。

したがって、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約は、平成五年七月二〇日の本件各解約(解除)により終了した。

(三) 期間満了

本件各解約には、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約の更新に対する異議も含まれているところ、更新拒絶をするについては何ら理由は必要ではなく、仮に必要であるとしても、本件では前記(一)(2) アないしオのとおり更新拒絶するについて相当な理由があった。

したがって、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約は、平成六年三月三一日の期間満了により終了した。

(四) 本件各食品取引契約について

両販社は、昭和五九年以降、資生堂チェインストア契約に準じて資生堂食品の取引を行うこととし、資生堂チェインストア契約を締結した特約店に対しては、別途契約を締結せずに資生堂食品を供給してきた。

したがって、原告・両販社間の資生堂食品の取引は、本件各チェインストア契約の解約、解除又は期間満了に伴い終了した。

2 商品の引渡しについて

本件各特約店契約は、いずれも個別の売買契約の条件(代金支払方法、商品の保管・販売方法等)の一部を包括的に定めたものにすぎず、被告は、これらに基づいて原告・被告間に個別の売買契約が成立したときに限り、商品の引渡義務を負うにすぎない。

しかし、両販社は、原告の別紙注文一覧表(一)(二)記載の資生堂化粧品・食品の注文に対し承諾の意思表示をしておらず、かえって、原告に対し、右注文には応じることができない旨告げていたから、被告は、右資生堂化粧品・食品の引渡義務を負わない。

なお、本件各解約の経緯からして、右のように承諾を拒絶できる特段の事情があったというべきである。

3 リベートの支払について

本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約においては、リベート支払に関する条項は、解約該当期には適用されない旨定められているから、被告は、解約該当期(平成五年五月二一日から同年七月二〇日まで)分のリベートの支払義務を負わない。

(被告の主張に対する原告の反論)

1 原告と東京販社との間の契約、原告と東関東販社との間の契約は、当事者の異なる別個の契約であるから、その終了の効力についても、それぞれ別個の事実関係及び法律関係に基づいて判断されるべきである。

2 やむを得ない事由の不存在

(一) 本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約は、いわゆる継続的供給契約であり、次の事情があるから、やむを得ない事由がない限りこれらを一方的に解約、解除又は更新拒絶することは許されない。

(1)  本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約は、毎年自動更新され、原告は、その前身として樋口会長が個人で化粧品を販売していた時期を含めると、東京販社からは約三〇年、東関東販社からは二〇年以上、資生堂化粧品の供給を受けてきた。

(2)  原告は、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約にのっとり、専用コーナーにおける推奨販売、顧客カードの作成・管理、美容講座・セミナーへの参加等の義務を履行するため、相当の資本投下をし、他方、見本の無料貸与、リベートの支払、美容部員の派遣、資生堂化粧品・食品専用端末機の貸与等の被告の販売支援を受け入れるため、相応の態勢を整備している。

(3)  資生堂は業界第一位の売上高を有する化粧品メーカーであり、資生堂化粧品は人気が高く、原告にとって総売上高の約三〇パーセントを占める主力商品でもあるから、原告は、資生堂化粧品の供給が停止されることにより多大な損害を受ける。

(4)  被告は、長年にわたり原告と取引を継続したことにより多額の利益を得ている一方、今後も原告と取引を継続することにより何ら不利益を受けることはない。

(二) 本件では、次のとおりやむを得ない事由は認められないから、本件各解約は無効である。

(1)  本件各解約の理由

本件各解約は、割引販売を阻止することを真の理由とするものであり、卸売販売禁止違反及び対面説明販売義務違反の理由は、独占禁止法を潜脱するための口実にすぎない。

(2)  卸売販売禁止違反の不存在

本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約には、卸売販売を禁止する直接の条項はないから、原告は、卸売販売を禁止されていない。

仮に、卸売販売が禁止されているとしても、卸売とは転売目的を有する業者に対する商品の販売を意味するところ、原告は、業者と思われる者に対しては商品を販売しないようにするなど注意して対応しており、業者であることを認識して商品を販売したことはないから、右禁止に違反していない。なお、被告が卸売販売であると指摘する事実は、いずれも被告の作り話か顧客に対するまとめ売りにすぎない。

(3)  対面説明販売義務違反の不存在

被告が対面説明を不要とするセルフ品の販売に力を入れていること、原告以外の特約店においても顧客が希望しない場合には商品の説明をしていないのが実情であることなどからすると、原告は、本件各チェインストア契約において、常に対面説明販売をするよう義務付けられているのではなく、必要に応じて対面説明販売をすることができる人的・物的態勢を整備するよう義務付けられているにすぎない。

そして、原告は、平成五年六月以降も、アルバイトを雇用し、化粧品の使用方法や美容指導を記載したパンフレットを作成するなどして対面説明販売をすることができる人的・物的態勢を整備していたし、船堀店においてはお手入れサービスと称する一時間程度の美容サービスを一時的に中止する旨掲示していたにすぎないから、右義務に違反していない。

(4)  信頼関係の維持

原告と被告は、平成五年六月以降も、通常の取引関係を継続し、本件割引販売に伴って生じた問題については緊密に連絡を取り合って協議を重ねてきたものであり、相互の信頼関係は、本件各解約に至るまで維持されていた。

(5)  信用不安の不存在

原告は、両販社から資生堂化粧品をメーカー希望小売価格の七〇パーセントの価格で仕入れ、その仕入高に応じて一四ないし一五パーセントのリベートを受け取っていたから、資生堂化粧品をメーカー希望小売価格の三〇パーセント引きで販売したとしてもリベート分の利益を得ることができた。また、原告は、両販社に対する代金の支払を遅延したことはなく、決算上も黒字であった。

3 催告手続の不存在

本件各解約は、事前に段階的な制裁措置がとられておらず、文書による三〇日前の予告ないし相当期間を定めた催告もされていないから、無効である。

4 独占禁止法違反

両販社及び資生堂の幹部は、平成五年三月以降、原告に対し、再三にわたり割引販売を中止するよう要求し、その代替措置として店舗活性化プランの策定等の販売支援のみならず一億二〇〇〇万円の提供を申し出、最終的には卸売販売を口実に本件各解約をし、資生堂化粧品・食品の供給を停止するに至った。このような割引販売の中止を求める行為は、独占禁止法一九条が禁止する「不公正な取引方法」のうち、同法二条九項四号に基づき公正取引委員会が指定した取引方法(昭和五七年同委員会告示第一五号。以下「一般指定」という。)の2(その他の取引拒絶)又は12(再販売価格の拘束)に該当する。

また、特約店に卸売販売の禁止を義務付ける条項は、一般指定の13(拘束条件付取引)に該当し、再販売価格維持の目的と効果を有するから一般指定の12にも該当する。

したがって、本件各解約は、独占禁止法に違反し無効である。

5 本件各食品取引契約について

両販社は、原告に対し、本件各食品取引契約を解約する旨の意思表示をしていない。仮に本件各解約の意思表示により右意思表示がされたと解しても、右2ないし4のとおり本件各解約は、無効である。

第三証拠

本件訴訟記録上の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第四当裁判所の判断

(本案前の主張について)

本件各特約店契約は、両販社に対し、原告の注文する資生堂化粧品を継続的に原告に供給するよう義務付けてはいるが、原告の注文に応じることを強制するものではないから、原告は、本件確認請求において、「特段の事情のない限り、原告が注文した資生堂化粧品・食品を被告から継続的に供給を受ける」という契約上の地位の確認を求めているものと解される。そして、本件確認請求が認容された場合には、既判力によって原告の右契約上の地位が確定されるから、それによって、原被告間の重要な法的紛争が解決されることになり、後に個別の注文につき右特段の事情の存否をめぐって紛争が生じる可能性があるとしても、本件確認請求について確認の利益がないとはいえない。

したがって、確認の利益がないことを理由として、本件訴えのうち本件確認請求に係る部分を不適法とすることはできない。

(本案の主張について)

一  本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約の解約

1 本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約は、化粧品の継続的供給契約であるが、契約の有効期間中に、当事者の一方からこれを解約することができるとする解約権の留保は、契約自由の原則から許容され、法的効力を有することはいうまでもない。

そして、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約は、三〇日前の予告をもって契約を中途解約することができる旨定めているだけで、解約事由を特に定めていないから、当事者は、契約の有効期間中であっても、右の留保解約権に基づき、解約事由を挙げることなく、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約を解約することができると解される。

もっとも、右のような解約権の行使も、諸般の事情に照らし、信義則に反し、又は権利の濫用に当たり、あるいは強行法規違反等により公序良俗に反するとすべき場合には制限を受け、解約の意思表示が無効とされる場合がある。

2 ところで、前記争いのない事実等によると、本件各チェインストア契約には、一年間という期間の定めがあるものの、自動更新条項があり、原告は、樋口会長が個人で化粧品を販売していた時期を含めると、本件各チェインストア契約に基づき、東京販社との間で約三〇年間、東関東販社との間で約二一年間、取引を継続してきたものであり、証拠(甲四、五の1ないし4、一七の1ないし4、五六、五九、六〇、証人岩崎重雄、証人弦間明)及び弁論の全趣旨によると、本件各チェインストア契約が、専用コーナーにおける推奨販売、顧客カードの作成・管理、美容講座・セミナーへの参加等を原告に義務付けていたこと、他方、両販社が、見本の無料貸与、リベートの支払、美容部員の派遣、資生堂化粧品・食品専用端末機の貸与等により原告の販売を支援していたこと、資生堂が業界第一位の売上高を有する化粧品メーカーであること、資生堂化粧品の売上高が原告の総売上高の二〇ないし三〇パーセントを占めていたこと、資生堂の販売会社が約定解約権に基づいて資生堂チェインストア契約を解約した事例が極めて少ないこと、以上の事実が認められ、右の事実からすると、原告は、本件各チェインストア契約が相当期間にわたって存続することを予定し、それを前提として、資本の投下、取引態勢の整備をし、事業計画を立てていたものと認められるので、本件各チェインストア契約が解約された場合には、原告に予期せぬ損害が生じるであろうと推認される。

したがって、本件各チェインストア契約の解約について右1の信義則等の適用を検討するに当たっては、右の点を十分考慮すべきことになる。

3 また、前記争いのない事実等のとおり、原告は、平成四年一月に東京販社との間で、同年二月に東関東販社との間で、本件各コスメニティー契約を締結したものであり、本件各解約までの取引期間は約一年六か月にすぎないが、証拠(甲六、七の1ないし4、一八の1ないし4、乙四四)及び弁論の全趣旨によると、資生堂の販売会社が、平成四年以降資生堂コスメニティー契約を締結するようになり、それまではコスメニティー化粧品についても資生堂チェインストア契約の対象としていたこと、資生堂コスメニティー契約が、特約店の義務を軽減していることを除いては、資生堂チェインストア契約とほぼ同じ内容であること、両販社が、発注や販売支援等において、コスメニティー化粧品とその他の資生堂化粧品とを同様に取り扱っていたこと、以上の事実が認められ、右の事実からすると、原告は、本件各コスメニティー契約も相当期間にわたって存続することを予定していたというべきであり、その解約について前記1の信義則等を適用するに当たっては、右の点を十分考慮すべきことになる。

二  そこで、右の観点から検討する前提として、原告が、本件各チェインストア契約において対面販売義務を負担し、かつ、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約において卸売販売を禁止されているかどうかについて検討する。

1 対面説明販売義務違反について

原告は、本件各チェインストア契約において、常に対面説明販売をするよう義務付けられているのではなく、必要に応じて対面説明販売をすることができる人的・物的態勢を整備するよう義務付けられているにすぎない旨主張する。

そこで、検討するに、証拠(甲四、乙三二の1、2、原告代表者小倉弘子本人)及び弁論の全趣旨によると、本件各チェインストア契約には「商品の販売に際しては、当チェインストアは消費者に対し、商品ごとに当販売会社が指示するところにもとづく適切な商品説明、美容指導およびアフターサービスなどを行うものといたします。」と明記されていること、化粧品は、嗜好性が強く、流行の変遷が早い商品であり、また、肌に直接塗布するものであるため皮膚トラブルの原因ともなり得ることから、消費者において、その性質、用途、使用方法、組合せ、自分の肌質や顔立ちとの相性等について専門家の助言・説明を受けたいという要望が高く、実際、株式会社ジェイ・エム・アール生活総合研究所が実施したアンケート調査(全国の一五歳から六四歳までの一五一三名の女性を対象)の結果によると、化粧品購入先に期待する接客・サービスについて、「化粧や肌について相談できる」と答えた人が七〇・八パーセント、「化粧品について説明が聞ける」と答えた人が七〇・五パーセント、「アフターケアがしっかりしている」と答えた人が六四・九パーセント、「自分の肌を知っていてくれる」と答えた人が五九パーセント、「メークや肌の手入れサービスがある」と答えた人が四七・七パーセント、「機器を使って診断してくれる」と答えた人が三七・五パーセントであることが認められる。

そして、顧客の求めに応じて商品の説明をすることは通常の小売店において一般的に行われていることであるから、右判示したところにかんがみると、原告は、本件各チェインストア契約において、顧客の求めに応じて対面説明をすることができる人的・物的態勢を整備することのみならず、顧客が容易に対面説明を求めることができる環境・雰囲気を整備することまで義務付けられていると解するのが相当である。

2 卸売販売の禁止について

(一) 原告は、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約において、卸売販売は禁止されていない旨主張する。

そこで、検討するに、証拠(甲四、六)によると、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約においては、卸売販売を禁止する直接の条項はないが、資生堂化粧品を小売販売することが契約の目的として明記されているほか、原告に対しては、専用コーナーにおいて資生堂化粧品を推奨販売すること(チェインストア契約)、最適スペースにおいて資生堂化粧品を陳列販売すること(コスメニティー契約)、消費者に資生堂化粧品の適切な説明、美容指導及びアフターサービスを行うこと(チェインストア契約)、そのために販売要員を美容講座に参加させること(チェインストア契約)、顧客カードを作成・管理すること(チェインストア契約)、店舗ごとに特約店契約を締結すること(チェインストア契約・コスメニティー契約)などが義務付けられ、両販社に対しては、消費者に販売した資生堂化粧品の品質保証をすること、消費者からのクレームに対処すること(チェインストア契約・コスメニティー契約)などが義務付けられており、右条項の文言は、資生堂化粧品を消費者に直接販売することを想定し、かつ当然の前提とするものであり、右条項の趣旨は、特約店に販売方法に関する制限を課することにより、資生堂化粧品に対するブランドイメージを維持・高揚しようとするところにあるということができる。

そうすると、原告は、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約においては、資生堂化粧品を消費者に直接販売することが義務付けられており、消費者以外の、販売会社に対して何らの契約上の義務を負わない者に販売することは禁止されていると解するのが相当である(以下、その意味で「卸売販売の禁止」の語を用いる。)。

(二) 次に、原告は、卸売販売の禁止が独占禁止法に違反すると主張するので、この点について判断する。

(1)  本件各チェインストア契約について

独占禁止法一九条は、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」と定めているところ、同法二条九項四号は、不公正な取引方法に当たる行為の一つとして、相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもって取引する行為であって、公正な競争を阻害するおそれのあるもののうち、公正取引委員会が指定するものを掲げ、一般指定の13により、「相手方とその取引の相手方との取引その他相手方の事業活動を不当に拘束する条件をつけて、当該相手方と取引すること。」(拘束条件付取引)が指定されている。このように拘束条件付取引が規制されるのは、相手方の事業活動を拘束する条件を付けて取引すること、とりわけ事業者が自己の取引とは直接関係のない相手方と第三者との取引について、競争に直接影響を及ぼすような拘束を加えることは、相手方が良質廉価な商品・役務を提供するという形で行われるべき競争を人為的に妨げる側面を有しているからである。しかし、拘束条件付取引の内容は様々であるから、その形態や拘束の程度等に応じて公正な競争を阻害するおそれを判断し、それが公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれがあると認められる場合に、初めて相手方の事業活動を「不当に」拘束する条件を付けた取引に当たるものというべきである。そして、メーカーや卸売業者が販売政策や販売方法について有する選択の自由は原則として尊重されるべきことにかんがみると、これらの者が、小売業者に対して、商品の販売に当たり顧客に商品の説明をすることを義務付けたり、商品の品質管理の方法や陳列方法を指示したりするなどの形態によって販売方法に関する制限を課することは、それが当該商品の販売のためのそれなりの合理的な理由に基づくものと認められ、かつ、他の取引先に対しても同等の制限が課されている限り、それ自体としては公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれはなく、一般指定の13にいう相手方の事業活動を「不当に」拘束する条件を付けた取引に当たるものではないと解するのが相当である(最高裁平成一〇年一二月一八日判決・民集五二巻九号一八六六頁参照。)。

これを本件についてみると、特約店に義務付けられた対面説明販売は、顧客の求めに応じて商品に関する助言・説明をする(前記1のとおり、顧客の求めに応じて助言・説明をすることができる態勢を整備するのみならず、顧客が容易に助言・説明を求めることができる環境・雰囲気を整備すること)という付加価値を付けて化粧品を販売する方法であり、その趣旨は、適切な使用方法により美容効果を高めたい、肌荒れ等の皮膚トラブルを防ぎたいなどの顧客の要求に応えることにより、顧客に満足感を与え、他の商品とは区別された資生堂化粧品に対するブランドイメージを維持・高揚しようとするところにあり、特約店に対する卸売販売の禁止は、対面説明販売の実効性を確保するための方法であり、その趣旨は、販売会社と特約店契約を締結しておらず対面説明販売の義務を負わない小売店等に商品が売却されるのを防ぐことにより、資生堂化粧品に対するブランドイメージを維持・高揚しようとするところにあると解される(なお、右資生堂化粧品に対するブランドイメージとは、宣伝広告等により形成される観念的・抽象的な印象ではなく、対面説明販売の積重ねにより形成される現実的・具体的な顧客の信頼を意味するものというべきである。)。そして、化粧品という商品の特性にかんがみれば、ブランドイメージを維持・高揚することが市場における競争力に影響することは自明のことであるから、両販社が対面説明販売という販売方法を採用し、その実効性を確保するために卸売販売を禁止したことにはそれなりの合理性があると考えられ、また、両販社は、他の取引先との間においても本件各チェインストア契約と同一の約定を締結し、実際にも相当数の資生堂化粧品が対面説明販売により小売販売されていたことからすれば、本件各チェインストア契約における対面説明販売義務及び卸売販売の禁止は、一般指定の13にいう相手方の事業活動を「不当に」拘束する条件を付けた取引に当たるということはできない(なお、メーカーや卸売業者の採用する販売政策や販売方法は時代的背景・状況によって異なり得るものであるから、現在、被告が対面説明販売を不要とするいわゆるセルフ品の販売に力を入れているとしても、右判断の妨げとはならない。)。

次に、一般指定の12の一は、正当な理由がないのに、「相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること。」(再販売価格の拘束)を禁じているところ、販売方法の制限を手段として再販売価格を拘束していると認められる場合には、そのような販売方法は、右の見地から独占禁止法上問題となり得る。

しかし、販売方法に関する制限を課した場合、販売経費の増大を招くことなどから多少とも小売価格が安定する効果が生ずるが、そのような効果が生ずるというだけでは、直ちに販売価格の自由な決定を拘束しているということはできず、本件においては、両販社が対面説明販売義務の条項あるいは卸売販売の禁止の条項そのものを手段として再販売価格を拘束していると認めるに足りる証拠はないから、本件各チェインストア契約における対面説明販売義務及び卸売販売の禁止は、一般指定の12の一に当たるということもできない。

したがって、本件各チェインストア契約における対面説明販売義務及び卸売販売の禁止は、独占禁止法一九条には違反しないというべきである。

(2)  本件各コスメニティー契約について

前記争いのない事実等のとおり、本件各コスメニティー契約は、比較的低価格で対象年齢層を問わず使用機会に汎用性があり、その機能や組合せが比較的単純なコスメニティー化粧品を対象とするものであり、原告に対し、卸売販売の禁止、最適スペースにおける陳列販売の義務付けをしているのみで、それ以上の販売方法に関する制限を課していない(甲六)。

そして、右(1) において判示したところによると、本件各チェーンストア契約における卸売販売の禁止は、対面説明販売の実効性を確保するための方法であり、その趣旨は、販売会社と特約店契約を締結しておらず対面説明販売の義務を負わない小売店等に商品が売却されるのを防ぐことにより、資生堂化粧品に対するブランドイメージを維持・高揚しようとするところにあるが、本件各コスメニティー契約においては、そもそも対面説明販売が義務付けられていないから、その点を卸売販売禁止の根拠とすることはできず、最適スペースにおける陳列販売を義務付けていることについても卸売販売を禁止することの根拠としては十分ではない(コスメニティー化粧品が販売会社と特約店契約を締結していない小売店等に卸売販売された場合には、最適とはいえないスペースにおいて陳列販売されたり、通信販売されたりするおそれもあるが、これによって、資生堂化粧品に対する現実的・具体的な顧客の信頼が損なわれるとまでいうことはできない。)。

また、原告と両販社との取引の経緯(従前はコスメニティー化粧品についても資生堂チェインストア契約の対象となっていた。)からすると、本件各コスメニティー契約は、本件各チェインストア契約と密接な関連を有するとはいえるが、コスメニティー契約は、チェインストア以外の小売店との間でも締結される性質の契約であるから、本件各チェーンストア契約において卸売販売の禁止が許容されることから、本件各コスメニティー契約についても、許容されるとすることはできない。

そうすると、本件各コスメニティー契約における卸売販売の禁止は、一般指定の13にいう相手方の事業活動を「不当に」拘束する条件を付けた取引に当たるといわざるを得ない。

したがって、本件各コスメニティー契約における卸売販売の禁止は、独占禁止法一九条に違反する。

三  次に、右に判示した契約内容を前提として、本件各解約の効力について検討する。

1 前記争いのない事実等、証拠(甲二〇ないし二九、三〇の1、2、三一の1、2、三二、三三、三四の1、2、三五、三六の1、2、三七の1、2、三八、四〇、四一、六六、七〇の1ないし7、七一、七二、八〇の1、2、八一、一一五、一一六、一二五、一二七、一二八、乙四の1ないし10、五ないし一一、一六の1、2、二二の1、2、三九の1、2、四一の2、四二の2、四四ないし四六、四七の1、2、四八、四九、五二、五五、証人松田健二、同堀井昭男、同岩崎重雄、同弦間明、原告代表者樋口、同小倉弘子)及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。

(一) 本件割引販売に至る経緯等

(1)  原告は、平成四年九月四日、各化粧品メーカーの販売会社の責任者及び担当者を集めて第一回営業方針発表会を開催し、樋口は、出席者に対し、自分が代表取締役に復帰する旨、今後は新しいアイディアと経費の節約により利益を上げる方針である旨発表し、販売会社において原告に販売促進のための提案をするよう要請した。また、樋口は、その席上、「酒と比べて化粧品の業績が悪い。」「今度失敗したら化粧品はやめる。」「化粧品は安売りしてはいけない、安売りできないものである。ただし、あらゆることを試してみて、もう見切りをつけるというときには、ディスカウントも考える。これは最後の手段である。」という趣旨の発言もした。

(2)  原告は、同年一一月一三日、各化粧品メーカーの販売会社の責任者及び担当者を集めて第二回営業方針発表会を開催し、樋口は、出席者に対し、販売促進のための提案と割引販売の実態調査をするよう要請した。また、樋口は、その席上、「四年ほど化粧品から離れていたら悪い体質になってしまった。今期はこのまま行くと赤字になる。」「ディスカウンターとして有名になったため、業者から酒と一緒に薬、化粧品を供給してほしいという要望をよく受ける。」「最近、米国と山梨の赤字の会社を買収したため、今期は河内屋酒販の利益も三億円から一億円に落ちる見込みである。」という趣旨の発言もした。

(3)  原告は、平成五年一月二八日、各化粧品メーカーの販売会社の責任者及び担当者を集めて新年会兼第三回営業方針発表会を開催し、樋口は、出席者に対し、自分は会長に退いて小倉を代表取締役にする旨、今後は経営効率を重視する方針である旨発表し、また、「この観点からするとディスカウントに行き当たる。いつかは徹底的に合理化した化粧品のディスカウントをやってみたい。」「私の言っているディスカウントとは単なる安売りではない、安く売る仕組みを作るということだ。」という趣旨の発言をした。

(4)  樋口会長は、平成五年三月三一日ころ、東京販社城東支店長岩崎重雄(以下「岩崎」という。)と面談し、全国レベルで化粧品の割引販売を実施する旨宣言した。

(この点、証人岩崎は、樋口会長が酒のフランチャイジーを全国に六〇〇店舗作り、そこに化粧品を卸売販売する構想を有していた旨供述し、他方、原告代表者樋口本人は、原告各店舗において割引販売する計画を立てていたにすぎない旨供述する。しかし、その当時、樋口会長が酒のフランチャイズ展開を企図していたこと(乙三の1、2)、各化粧品メーカー販売会社とその特約店との間で卸売販売の可否があまり問題とされていなかったこと(その当時、小売店が化粧品メーカーの販売会社に対して化粧品販売特約店の地位確認を求めた訴訟としては、株式会社富士喜本店・東京販社間の東京地方裁判所平成三年(ワ)第一五三四七号事件及び有限会社江川企画・花王化粧品販売株式会社間の東京地方裁判所平成四年(ワ)第一一五八六号事件が存したが、前者については、卸売販売の禁止違反が争点とされておらず、後者については、平成六年七月一八日の一審判決において卸売販売の禁止違反の事実は認定されていない。)、岩崎支店長が平成五年三月三一日及び同年四月一日の樋口会長との面談について記載したメモ(乙四の四)には、「ディスカウント宣言」という表題が付されており(なお、岩崎支店長は、後に右表題を「河内屋樋口会長のFC600店構想について」と書き換えた。)、三月三一日の面談に関する部分には卸売販売について記載されておらず、四月一日の面談に関する部分には卸売販売について「化粧品は3割引、資生堂、カネボウ、コーセーの売れ筋だけに絞り、全国600店でやりたい。化粧品は私の店から全国に配送する。」と記載されているのみであることなどを併せ考えると、樋口会長は、卸売販売をするという明確な表現はしなかったものの、卸売販売を当然の前提として全国レベルで割引販売を実施するという構想を表明したものと認めるのが自然かつ合理的であり、樋口会長は、卸売販売を伴う割引販売を全国的に展開することを計画していたものと認められる。)

(5)  東京販社代表取締役山本義孝(以下「山本」という。)は、右の経緯について報告を受け、同年四月一日ころ、岩崎支店長と共に樋口会長と面談し、右のような割引販売の実施を思い止まるよう要請したが、樋口会長は、右要請に応じなかった。

(6)  資生堂専務取締役弦間明(以下「弦間」という。)は、右の経緯について報告を受け、同月三日ころ、樋口会長に右のような割引販売の実施を思い止まるよう要請するため、資生堂チェイン部長美谷洋(以下「美谷」という。)、山本及び岩崎支店長と共に河内屋酒販の事務所を訪れたが、樋口会長は、不在であった。

(7)  弦間専務は、同月六日、樋口会長と面談し、原告の販売促進を支援する旨申し出て右のような割引販売の実施を思い止まるよう要請したが、樋口会長は、右要請に応じなかった。

(8)  岩崎支店長は、同月一九日ころ、原告がフランチャイズ構想を中止したとの話を聞いた。そこで、城東支店及び船橋支店は、樋口会長が再び右のような割引販売を企図しないよう原告の販売促進を支援することとし、同月下旬ころから、原告独自の店舗活性化プランを策定したり、宣伝用リーフレットを作成・配布したりした。

(9)  樋口会長は、同年五月二二日ころ、岩崎支店長及び東関東販社船橋支店長中川伊作(以下「中川」という。)と面談し、原告において資生堂化粧品を非特約店に販売した場合に、商品の供給とリベートの支払を受けることができるかどうか尋ねた。

(10) 岩崎支店長及び中川支店長は、社内で検討した結果、右のような場合にはリベートの支払はもとより商品の供給をすることもできないという結論に達し、同月二五日、樋口会長に対し、その旨回答した。すると、樋口会長は、岩崎支店長及び中川支店長に対し、「それなら特約店で化粧品のディスカウントをする。船堀店、原木中山店で行う。商品の出荷制限はできないはずだ。卸売と小売の区別はやり方次第でどうにでもなる。店頭では一〇万円単位で販売するし、それが駄目なら一品ずつ一日何十回も販売する。手間は掛かるが完全に小売だ。その後商品がどうなろうと知らない。」という趣旨の発言をした。

(11) 美谷及び資生堂チェイン部次長神谷らは、同月二七日、樋口会長と面談し、割引販売に頼らずに店舗活性化プランを採用してほしいと要請したが、樋口会長は、原告の店舗において割引販売を実施する旨述べて、右要請に応じなかった。

(12) 元資生堂取締役大川浄作は、同月二八日、美谷の依頼を受けて樋口会長に電話をし、割引販売の実施を思い止まるよう説得したが、樋口会長は、右説得に応じなかった。

(13) 樋口会長は、平成五年五月二九日、各化粧品メーカー販売会社の責任者及び担当者に対し、原告の店舗において化粧品の割引販売を実施する旨発表した。

(14) 美谷は、平成五年六月二日、樋口会長と面談し、割引販売に頼らずに店舗活性化プランを採用してほしいと再び要請し、販売促進費用として一億二〇〇〇万円の提供を申し出たが、樋口会長は、右申出を拒絶した。

(15) 原告は、平成五年六月九日以降、各店舗において、本件割引販売を実施した。

(二) 本件各解約に至る経緯等

(1)  信用調査

岩崎支店長は、原告の信用状況について不安を抱き、平成五年六月中旬ころ、株式会社中村事務所(以下「中村事務所」という。)に対し、原告及び河内屋酒販の信用調査を依頼した。その結果、原告については、取引銀行から限度額を大幅に超えた借入れをし、代表者個人及び河内屋酒販からの借入れによって資金繰りをしていること、河内屋酒販については、資金繰りに問題はないが、取引銀行から担保物件の時価を大幅に上回る借入れをしていることなどが判明した。

(2)  原告と両販社との協議

ア 岩崎支店長は、平成五年六月一一日、樋口会長及び小倉社長と面談して卸売販売の定義等について協議をした。その際、岩崎支店長は、樋口会長に対し、卸売販売とは商品を転売してマージンを取ることであると告げ、樋口会長は、岩崎支店長に対し、「友人の分まで商品を購入する場合はどうなるのか。」「各店舗で数個ずつ購入した商品をまとめて転売する場合はどうなるのか。」「客にマージンを取るかどうか事前にいちいち聞けない。」などと述べ、卸売販売に当たる場合の個別具体的基準を示すよう求めた。

イ 岩崎支店長及び中川支店長は、同月一八日、小倉社長らと面談して卸売販売の定義等について協議をした。

ウ 岩崎支店長及び中川支店長は、同月二五日ころ、樋口会長及び小倉社長と面談して卸売販売の定義等ついて協議をした。その際、樋口会長は、岩崎支店長及び中川支店長に対し、「卸売と小売を区別するのは困難である。まとめて購入する場合はどうなるのか。幾らまでなら卸売に当たらないのか。」などと述べ、卸売販売に当たる場合の個別具体的基準を示すよう求めた。

エ 岩崎支店長及び中川支店長は、同年七月一〇日、樋口会長及び小倉社長と面談して卸売販売の定義等について協議をした。その際、岩崎支店長は、樋口会長に対し、「卸売販売か小売販売かは販売金額の多寡は全く関係ありません。例えば当支店がチェインストア様からご注文頂いたティッシュペーパー1個を出荷する、これは当然卸売販売に該当します。」「対面説明販売することなく、直接お使い頂く消費者の方以外に販売し、それがマージンをとって再販売される場合には「卸売販売」です。通常の化粧品の小売販売においては、一人の消費者が自分の使用するものとして同じ化粧品を多数まとめて買う事はなく、その辺は常識的に判断出来るものと考えます。」などと記載された書面を交付した。

(3)  店頭におけるまとめ売り等

ア 浦安店の担当セールスマンであった船橋支店の吉田昭男は、平成五年六月一六日、浦安店において、合計一六〇個の化粧品名が記載された「藤沢賢二」あての納品書ないし納品書控え及びメーカー希望小売価格約二一万円相当の資生堂化粧品名が記載されたファクシミリを発見した。

イ 浦安店に派遣されていた船橋支店美容部員の石井京子(以下「石井」という。)は、同月二三日、浦安店において、男性客がメーカー希望小売価格約二三万円相当の化粧品を購入したのを現認した。

ウ 東京販社城南支店の鈴木克俊は、同月二八日から同年七月六日までの間、「自由が丘コスメラボ」という化粧品店において、西葛西店に納入された資生堂化粧品がセロファンに包まれたまま販売されているのを発見した。

エ 石井は、同年六月二九日、浦安店において、藤沢賢二が前記ファクシミリに記載されていた資生堂化粧品を購入したのを現認した。

オ 船堀店の担当セールスマンであった城東支店の木村耕太郎(以下「木村」という。)は、同年七月二日、葛西店において、四〇代の男性客がビニール袋四袋分、メーカー希望小売価格一二ないし一五万円相当の化粧品を購入したのを現認した。

カ 東京販社の大石英統は、同月一六日、船堀店において、男女二名の客がビニール袋六袋分の化粧品を購入したのを現認した。

(4)  売上ノートの書換え

ア 木村は、平成五年六月一二日、船堀店において、売上ノートを閲覧し、同月一〇日分の売上げが「二九四万八八六〇円」、同月一一日分の売上げが「一五万四六五〇円」とそれぞれ記載されているのを確認した。

イ 木村は、同月二三日、船堀店において、右売上ノートを再度閲覧し、同月一〇日分の売上げが「二九万四八六〇円」、同月一一日分の売上げが「八九万三五〇〇円」と書き換えられているのを発見した。

(5)  張り込み調査

岩崎支店長は、原告の卸売販売について疑いを抱き、平成五年六月下旬、中村事務所に対し、船堀店の張り込み調査を依頼した。その調査報告書には、次の事実が記載されていた。

ア 同年七月三日午後零時三五分、店舗から資生堂の段ボール箱一箱及びその他の段ボール箱一箱がワゴン車に積み込まれ、同日午後一時二〇分、台東区上野の有限会社山宝商事において更に化粧品メーカーの段ボール箱が右ワゴン車に積み込まれた後、同日午後一時四〇分、そのうち七、八箱が中央区日本橋の「シャンティ」という化粧品店に搬入された。ただし、右資生堂の段ボール箱は、右ワゴン車内に残されていた。

同日午後六時四五分、店舗から資生堂の段ボール箱一六箱が隣接するエステティックサロン「ダイアナ」に搬入された。

イ 同月五日午前一一時四〇分、「ダイアナ」から資生堂の段ボール箱約一〇箱及びアルビオンの段ボール箱二箱がライトバンに積み込まれ、同日午後零時五〇分すぎ、そのすべてが台東区浅草の「フジキ」という化粧品店に搬入された。

ウ 同月九日午前一〇時五分、「フジキ」に資生堂の段ボール箱を搬入した男性らが、右ライトバンに乗って現れ、店舗周辺を警戒した様子で歩き回った後立ち去った。

同日午前一一時三〇分、店舗から出てきた女性が、店舗周辺に駐車していた自動車の車両ナンバーを写真撮影した。

同日午後零時、「フジキ」に資生堂の段ボール箱を搬入した女性らが、右ライトバンに乗って現れ、店舗周辺を警戒した様子で見回した後立ち去った。

エ 同月一四日及び同月一五日、店舗から出てきた女性が、数回にわたり、店舗周辺を警戒した様子で見回すなどした。

同日午後三時一五分、店舗から出てきた男性が、店舗周辺に駐車していた自動車の車両ナンバーを写真撮影し、調査員らをにらみつけた。

(6)  調査会社による試買

ア 中村事務所取締役堀井昭男(以下「堀井」という。)は、平成五年七月九日、船堀店において、メーカー希望小売価格四一万三二〇〇円相当、合計九四個の資生堂化粧品を注文した。店員は、その用途等について質問することなく右注文に応じ、同月一五日、堀井に対し、右資生堂化粧品を販売するとともに「堀井」あての領収証を交付した。

なお、堀井は、船堀店に立ち入った際、メーカー名の部分にガムテープのはられた段ボール箱が積まれていたのを目撃した。

イ 中村事務所調査員小谷和巳は、同月一四日ころ、行徳店において、メーカー希望小売価格三五万七八〇〇円相当、合計七六個の資生堂化粧品を注文した。店員は、その用途等について質問することなく右注文に応じ、同月一七日、小谷和巳に対し、右資生堂化粧品を販売するとともに「有限会社カズミ」あての領収証を交付した。

(7)  仕入高の急増

原告各店舗において、平成五年四月度から同年七月度の資生堂化粧品の仕入高は、次のとおりであった(括弧内は前年同月度の仕入高、増加率)。

ア 葛西店・ウィンク葛西店

平成五年四月度  三四二万円(三〇二万円、一一三・二%)

同年五月度  二九六万円(三八三万円、七七・三%)

同年六月度  四二五万円(三一六万円、一三四・五%)

同年七月度 一二三七万円(三四六万円、三五七・五%)

イ 西葛西店

平成五年四月度  二四三万円(三一七万円、七六・七%)

同年五月度  二一七万円(二七二万円、七九・八%)

同年六月度  四一四万円(二二八万円、一八一・六%)

同年七月度 一〇三六万円(二八一万円、三六八・七%)

ウ 船堀店

平成五年四月度   四七万円(七五万円、六二・七%)

同年五月度   五〇万円(五〇万円、一〇〇%)

同年六月度  九四八万円(五四万円、一七五六%)

同年七月度 一五八三万円(七七万円、二〇五六%)

エ 浦安店

平成五年四月度  一九五万円(一六三万円、一一九・四%)

同年五月度  一三五万円(一六六万円、八一・三%)

同年六月度  一九〇万円(一五八万円、一二二・九%)

同年七月度  九〇一万円(二三一万円、三九三・七%)

オ 行徳店

平成五年四月度  一四一万円(一六〇万円、八八・二%)

同年五月度  一〇八万円(一五三万円、七〇・六%)

同年六月度  一七八万円(一三九万円、一三二・三%)

同年七月度 一〇一五万円(一三七万円、七四三・二%)

カ 南行徳店

平成五年四月度   八〇万円(九三万円、八六・一%)

同年五月度   六八万円(一一一万円、六一・六%)

同年六月度  一二三万円(九五万円、一二八・九%)

同年七月度  二七九万円(一〇九万円、二五四・一%)

キ 原木中山店

平成五年四月度   七九万円(五六万円、一四〇・三%)

同年五月度   六七万円(八五万円、七八・五%)

同年六月度  一〇〇万円(五九万円、一六七・九%)

同年七月度  二八三万円(六二万円、四五二・九%)

(8)  売上日計ノートの分析

船堀店の売上日計ノート(平成五年六月九日から同月一一日分、同年七月一日から同月五日分)を分析した結果、船堀店において、一人の顧客に対して次のとおり多額かつ多数の資生堂化粧品が販売されていたことが判明した(日付、客番号、販売個数、販売金額、同日の資生堂化粧品総売上個数に占める割合、同日の資生堂化粧品総売上金額に占める割合の順に記載)。

ア 六月一〇日 四八番 七五〇個  二六八万〇八〇〇円

九〇・一パーセント 九三・三パーセント

イ 七月 一日 二五番 二〇三個  七五万一四〇〇円

六七・二パーセント 七二・四パーセント

ウ 同月 三日 三八番 一三八個  四九万四五〇〇円

五〇・五パーセント 五四・二パーセント

エ 同月 四日 二七番 二九〇個  七四万八六三〇円

七三・四パーセント 七四・六パーセント

オ 同月 五日 六二番 一五三個  五九万四八〇〇円

六〇・二パーセント 六九・六パーセント

(9)  その他の事情

ア 平成五年七月二日ころから、船堀店において、「お急ぎの方は用紙に商品名を記入して提出して下さい。お待たせすることがなくなります。」「当店では値引きがサービスの一環となりますので、技術面のサービス(眉カット・メーキャップ等)は行っておりませんので御了承下さいませ。」という張紙が掲示されていた。

イ 原告の新聞折込広告には、「メーカー小売希望価格で5万円以上お買い上げのときは2・7割引、10万円以上は3割引となりますので、お友達・ご家族の分とご一緒にお買い求め下さい、大変おとくです。5万円以下は全て2・5割引です。」と記載されており、都営地下鉄新宿線の中吊広告、車額広告等には、「ご家族、ご近所、お友達お誘い合わせて、まとめ買いがお得です。」と記載されていた。

ウ 同年七月度における顧客一人当たりの平均購入額は、本件割引販売を実施する前と比較して、葛西店が一・二四倍、西葛西店が一・四五倍、船堀店が二・三八倍、浦安店が一・〇九倍、行徳店が一・七四倍、南行徳店が一・二一倍、原木中山店が一・四四倍に増加した。

(10) 両販社は、平成五年七月二〇日又は二一日に原告の各取引店舗に到達した書面により、原告に対し、本件各解約の意思表示をした。

2 原告の契約違反の存否

(一) 原告は、右1(二)(9) アにおいて認定したとおり、船堀店において技術面のサービスをしていない旨の張紙をしていたのであり、顧客に対し、技術面のサービスはもとより、商品に関する助言・説明もしていないという印象を与えたものといわざるを得ない。

この点、原告代表者小倉本人は、右張紙は、顧客に対し、お手入れサービスと称する一時間程度の美容サービスを一時的に中止すると知らせたものである旨、原告は、顧客に対し、独自に作成したパンフレットを用いて効率的に商品に関する助言・説明をしていた旨供述するが、お手入れサービスを利用したことのない顧客は、右張紙を見て、商品を購入する際にサンプルの試用や美容指導を伴う助言・説明を受けることができないものと理解するのが通常であるし、お手入れサービスを利用したことのある顧客であっても、右張紙にはお手入れサービスを中止する旨端的に記載されていないことから、右と同様に理解する可能性が高い。そうすると、右張紙は、顧客が対面説明販売を求めることを拒絶する内容であったとまでいうことはできないとしても、顧客に対面説明販売を求めることを躊躇させる内容であり、本件各チェインストア契約に定められた対面説明販売義務の趣旨にもとるものであったといわざるを得ない。

(二) ところで、原告は、業者と思われる者に対しては商品を販売しないようにするなど注意して対応しており、業者であることを認識して商品を販売したことはないから、卸売販売の禁止に違反していない旨主張する。

しかしながら、右1(二)(8) において認定したとおり、船堀店において、平成五年六月一〇日に七五〇個、二六八万〇八〇〇円相当の、同年七月一日に二〇三個、七五万一四〇〇円相当の、同月三日に一三八個、四九万四五〇〇円相当の、同月四日に二九〇個、七四万八六三〇円相当の、同月五日に一五三個、五九万四八〇〇円相当の資生堂化粧品がそれぞれ一人の顧客に対して販売されていたところ(なお、右の事実は、本訴において提出された船堀店の同年六月九日から同月一一日分及び同年七月一日から同月五日分の売上日計ノートにより判明したものであるから、他の店舗及び船堀店の他の営業日においても右のような多数かつ多額の資生堂化粧品が販売されていた可能性を否定し得ない。)、右販売は、同日の資生堂化粧品の総売上個数及び総売上金額の過半数以上を占めていたというのであり、また、株式会社マーケティング・リサーチ・サービスが実施したアンケート調査(一二歳から六九歳までの六〇〇〇名の女性を対象)の結果によると、一回当たりの化粧品の購入数量は平均一・四個であり、一回当たりの化粧品の購入金額は平均二五一三円であるというのであるから(乙三四の1、2)、割引販売に伴いまとめ買いをする顧客が増加した点を考慮したとしても、右販売は、個数及び金額の両面において小売販売の範囲を超えていたといわざるを得ず、長年にわたり化粧品の販売に従事してきた原告としては、当然にこれを認識していたものと推認するのが相当である。

そして、仮に、原告がこれを認識していなかったとしても、右1において認定したとおり、樋口会長が、本件割引販売の実施後も、まとめ買いを奨励する内容の宣伝広告を出し、小売と卸売の区別が困難である旨の発言を繰り返すなど卸売販売を容認ないし黙認するかのような態度を示し、また、原告各店舗において一斉に本件割引販売を実施したにもかかわらず、船堀店及び行徳店における資生堂化粧品の仕入高の増加率及び顧客一人当たりの平均購入額の増加率が他店舗のそれを大きく上回っていたという状況下において、浦安店、葛西店及び船堀店において化粧品が大量に販売されたこと、西葛西店に納入された資生堂化粧品が別の化粧品店において販売されていたこと、船堀店から資生堂の段ボール箱が搬出され別の化粧品店に搬入されたこと、しかも、その搬入先が、資生堂化粧品の出荷を停止されたため、東京販社を被告として地位確認訴訟を提起していた株式会社富士喜本店の事務所であったこと(乙四四)、船堀店及び行徳店において、数十個単位の資生堂化粧品がちゅうちょなく販売されたことなどの事実が次々に判明していった経緯にかんがみると、両販社が、原告において卸売販売をしているのではないかという不信感を抱き、危機感を募らせたことは、当然のことであったということができる。

(三) なお、前記1において認定したところによると、岩崎支店長及び中川支店長は、樋口会長に対し、卸売販売が本件各チェインストア契約に違反する旨伝えており、卸売販売の定義について協議を重ねていたのであるから、本件各解約が全く唐突に行われたものということはできず、他方で、催告をした場合には、卸売販売が秘密裏に、かつ巧妙に行われる可能性があったということができるから、両販社が原告に対して是正の催告をしなかったことをもって、非難すべき事情があるとすることはできない。

3 本件各解約の目的の違法について

原告は、本件各解約の目的は本件割引販売を阻止して資生堂化粧品の再販売価格を維持することにあり、独占禁止法に違反すると主張するので、この点について判断する。

(一) 前記1において認定したとおり、資生堂の弦間専務、チェイン部長の美谷、元取締役の大川浄作、東京販社代表取締役の山本らは、樋口会長に対し、販売促進のための支援や費用の提供を申し出、卸売販売を前提ないし手段とする全国レベルにおける割引販売のみならず原告各店舗における本件割引販売の実施についても思い止まるよう要請していたものであり、証拠(甲一九、九四の1、2、乙一四の1、2、一五、)によると、次の事実が認められる。

(1)  原告は、平成五年七月二七日及び同年八月二日、公正取引委員会に対し、本件各解約は、本件割引販売を理由とするものであり、独占禁止法に違反する旨申し立てた。

(2)  公正取引委員会は、平成七年六月二一日、資生堂に対し、「割引販売を企図した大手量販店に対し、資生堂化粧品のうち非再販商品について、メーカー希望小売価格を下回る価格で販売しないよう要請し、メーカー希望小売価格で販売するようにさせている行為を取りやめ、今後も販売価格を制限しないこと」「実質的に消費生活協同組合との間で締結している再販売価格維持契約を破棄し、今後も締結しないこと」などを勧告した。

その勧告書には、資生堂が、割引販売を企図した全国に約一五〇店舗を有する大手量販店に対し、その割引販売の申入れを断った上、平成五年三月上旬ころ、割引販売をしないよう要請し、販売促進の支援をするなどして割引販売をしないようにさせていること、同年六月上旬ころ、一部の大手量販店に対し、東京都及び千葉県に八店舗を有する取引先小売業者(原告を指しているものと推測される。)に追随して割引販売を行わないよう要請したこと、同月下旬ころ、割引販売を企図した全国に約三五〇店舗を有する大手量販店に対し、その割引販売の申入れを断った上、右小売業者の割引販売に対して対応策を講ずる旨伝えるとともに、販売促進の支援をする旨申し出るなどして割引販売をしないよう要請したことなどの事実が摘示されていた。

(3)  資生堂は、右勧告を不服としてこれに応諾しなかったため、公正取引委員会は、平成七年七月二六日、右勧告と同じ事実について審判開始決定をした。これについて、資生堂は、同年一〇月二日、公正取引委員会に対し、同意審決を受ける旨申し出たため、公正取引委員会は、同年一一月三〇日、右勧告とほぼ同じ内容の審決をした。

(二) なるほど、右の事実からすると、平成五年当時、資生堂が資生堂化粧品が割引販売されることについて相当の危機感を抱いていたものと推認され、本件解約についても、資生堂の指示ないし指導の下、資生堂化粧品の再販売価格を維持する目的でされた可能性がある。

しかしながら、前記1、2においてみたとおり、原告には、本件各チェインストア契約において定められている卸売販売の禁止及び対面説明販売義務に反する行為が認められ、後記4(一)判示のとおり、それは、本件各チェインストア契約を解約する十分な根拠であったということができる。そして、本件において取り調べた各証拠からは、右の契約違反という理由が再販売価格維持の目的を隠ぺいするための単なる口実であり、本件各特約店契約を解約した真の目的は再販売価格の維持にあるとまで認めることはできない。

4 本件各解約の効力

ところで、原告・東京販社間の契約と原告・東関東販社間との契約とは、一方当事者の異なる別個の契約であり、本件各特約店契約は、対象商品の異なる別個の契約であるから、その解約の効力についても別個に判断するのが原則である(なお、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約の契約書は、原告の店舗ごとに作成されているが、両販社が、店舗ごとに個別の対応をしておらず、経営や契約に関する重要な事柄については原告の代表取締役と協議していたことからすると、契約の当事者は、両販社と原告であり、契約書は、当該店舗において資生堂化粧品の取扱いを許可するという意味で作成されたものというべきである。)。そこで、以下、右の観点から検討する。

(一) 本件各チェインストア契約について

原告・東京販社間のチェインストア契約については、船堀店における資生堂化粧品の仕入高の増加率及び顧客一人当たりの平均購入額の増加率が他店舗のそれを圧倒的に上回っていたこと、葛西店及び船堀店において化粧品が大量に販売されたこと、西葛西店に納入された資生堂化粧品が別の化粧品店において販売されていたこと、船堀店から資生堂の段ボール箱が搬出され東京販社と係争中の化粧品店に搬入されたこと、船堀店において技術面のサービスを行っていない旨の張紙がされていたことなど前記1において認定した事実と前記2において判示したところを併せ考えると、東京販社が、原告が東京都内の各店舗において資生堂化粧品の卸売販売をしていると疑い、対面説明販売をしていないと判断したことには十分な根拠があったというべきである。

これに対し、原告・東関東販社間のチェインストア契約については、行徳店における資生堂化粧品の仕入高の増加率及び顧客一人当たりの平均購入額の増加率が他店舗のそれを大きく上回っていたこと、浦安店及び行徳店において資生堂化粧品が大量に販売されたことなど前記1において認定した事実のみでは、直ちに卸売販売がされており、あるいは対面説明義務の違反があると断定することはできない。しかし、中途解約条項に基づいて契約を終了するか否かを判断するに当たり、当該契約固有の事情のみならず当該契約に関連する事情をも広く考慮することは当然のことと解されるところ、前記1において認定したところによると、原告は、東京都内の各店舗と千葉県内の各店舗とを同一の方針の下に運営していたということができ、中川支店長は、岩崎支店長を通じて東京都内の各店舗の動向を把握していたのであるから、東関東販社が、原告が千葉県内の各店舗においても資生堂化粧品の卸売販売をし、対面説明販売をしていないと疑い、あるいは間もなくそうなるであろうと判断したことには十分な根拠があったというべきである(なお、本件各特約店契約のうちで本件各チェインストア契約は、中核的な位置を占めており、販売価格面からみれば、原告が卸売販売した化粧品のうちの大半が本件各チェインストア契約の対象製品であったものと推認できる。)。

しかも、前記1において認定したとおり、樋口会長が営業方針発表会等において原告の業績悪化を示唆する内容の発言をしていたこと、原告の信用調査報告書に原告の信用力が十分ではないとする記載があったこと、原告各店舗において資生堂化粧品の仕入高が急増した状況からすると、両販社が原告からの代金回収に不安を抱いたのは当然のことであったというべきである。

そうすると、右のような事情の下では、前記一2に述べた事情を考慮しても、両販社が本件各チェインストア契約を解約したことについては、これを信義則に反し、権利の濫用に当たり、又は公序良俗に反するとすることはできないというべきである。

(二) 本件各コスメニティー契約について

前記二2(二)(2) のとおり、本件各コスメニティー契約における卸売販売の禁止は、独占禁止法一九条に違反する。

しかしながら、本件各チェインストア契約については、原告に卸売販売の禁止及び対面説明販売義務に違反する行為があったことはもとより、本件割引販売に至る経緯とその態様を考慮すると、それによって原告・両販社間の信頼関係が破綻したというべきところ、元々、原告においては、本件各コスメニティー契約の対象となっている化粧品は、本件各チェインストア契約の対象とされていたものであり、本件各チェインストア契約に関する信頼関係の破綻は、本件各コスメニティー契約における信頼関係にも大きく影響するところである。しかも、原告に信用不安があると見るべき事情があったことは、右(一)において判示したとおりである。

そうすると、本件各コスメニティー契約の解約については、前記一3に述べた事情を考慮しても、これが信義則に反し、権利の濫用に当たり、又は公序良俗に反するとすべき事情があるとすることはできないというべきである。

(三) 本件各食品取引契約について

証拠(乙四四、証人岩崎、原告代表者樋口、同小倉)及び弁論の全趣旨によると、両販社は、昭和五九年以降、すでに資生堂チェインストア契約を締結している店舗については別途食品取引契約を締結するまでもなく、資生堂チェインストア契約に準じて資生堂食品の取引をしていたものと認められるが、そうすると、両販社が本件各チェインストア契約を解約する旨の意思表示をした場合には、本件各食品取引契約のみを残存させる意思を有していないことは明らかであるから、これをも含めて解約の意思表示がされたものと解するのが相当である。

そして、前記(一)に判示した事情を前提とすると、両販社が本件各食品取引契約を解約したことについて、信義則に反し、権利の濫用に当たり、又は公序良俗に反するとすべき事情があるとすることはできない。

(四) 本件各解約の効力の発生時期について

本件各解約の意思表示は、東京販社の行ったものについては、平成五年七月二〇日に各販売店舗に到達し、東関東販社の行ったものも、原木中山店に対するものは同日に到達しているので、本件各特約店契約は、同年八月一九日の経過により終了したことになる(本件各解約の意思表示に際しては三〇日の予告期間を置く旨の表示はされていないが、そのような表示をすることが解約の意思表示の効力発生要件であると解することはできないから、本件各解約の効力は、約定の予告期間三〇日の経過により発生する。)。

なお、両販社は、平成五年八月五日、文書による三〇日前の予告に代えて東京都内の各店舗について五四〇万円、千葉県内の各店舗について四一〇万円の補償金を支払っているが(当事者間に争いがない。)、本件各特約店契約においては、そのような金員の支払をもって三〇日の予告期間に代替させることができる旨の合意はなく、また、契約の性質から右のように解することもできないから、それによって、本件各解約の意思表示がされた時又は補償金の支払がされた時に解約の効力が生じたとすることはできない(本件においては、原告が右補償金を両販社に返還していることは当事者間に争いがないので、右補償金の支払をもって予告期間に代えることについて原告の事後承諾があったとすることもできない。)。

四  商品の引渡し請求について

右三において判示したところによると、原告が本件において引渡しを求めている各商品は、本件各解約の意思表示をした日からそれが効力を生じるまでの間に注文されたことになるところ、本件各特約店契約は、継続的に行われる売買の基本取引契約であるから、これに基づき原告から個別的に商品の注文がされ、それに対して両販社が承諾をすることにより当該注文に係る商品の売買契約が成立すると解するのが相当である(両販社が明示的な承諾をせず、原告の注文に応じて商品を納入している場合であっても、納入行為によって承諾をしていることになる。)。

ところが、本件においては、両販社は、本件各解約の意思表示において、即時解約である旨表示しており(乙一、弁論の全趣旨)、また、両販社が、本件各解約の意思表示の後、原告に対し明示的に承諾をしたことも、原告の注文に応じて商品を納入したこともないから、原告の右注文に対し、承諾の意思表示をしたものと認めることはできない。

したがって、原告は、個別的な売買契約の成立を前提として、被告に対し、注文した商品(別紙注文一覧表(一)(二)記載の商品)の引渡しを請求することはできないというべきである(被告が承諾に応じないことは、在庫がないなどの特段の事情がない限り、本件各特約店契約の不履行に当たるゥら、原告は、右債務不履行を理由として被告に損害賠償を請求すべきことになる。)。

五  リベートの請求について

前示のとおり、本件各チェインストア契約及び本件各コスメニティー契約には、解約該当期分についてはリベートを支払わないとの特約があるところ、本件各解約は、平成五年七月二〇日にされているから、原告は、リベートを請求できないことになる。

第五結論

よって、原告の請求は、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六一条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡久幸治 裁判官 都築政則 裁判官 丹羽敦子は、転補のため署名押印することができない。裁判長裁判官 岡久幸治)

契約目録(一)(二)<省略>

別紙注文一覧表(一)(二)<省略>

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